共同研究
SKK藻場礁「コンブロック」形状最適化に関する研究
平成13年3月
北海道立工業技術センター
協力 北海道大学大学院水産科学研究科
水槽実験
実験の様子
第一章
流体力の測定
実験は以下の3パターンについて行った。
実験T 1/10模型を使用して定常流中においての抗力測定を行った。実験は
大型水槽で流速を10p/sから90p/s間で、24段階に変化させ、設置
角度を0°、30°、60°の3方向に変えて行った。また、模型
は脚部の高さを4段階に変化させた。 .
実験U 1/10模型を使用して定常流中においての揚力測定を行った。実験は
大型水槽で流速を10p/sから90p/s間で、24段階に変化させ、設置
角度を0°、30°、60°の3方向に変えて行った。また、模型
は脚部の高さを4段階に変化させた。 .
実験V 1/30模型を使用して振動流中において流体力測定を行った。実験は
周期を約3秒から10秒の間で3段階、流速を10p/sから80p/sま
で、10p/sごとに変化させ、設置角度を0°、30°、60°の3方向
に変えて行った。また、模型は脚部の高さを4段階に変化させた。.
模型の脚部の高さによるタイプ
コンピュータ解析より得られた結果
円錐脚部が埋まっている状態での潮の流れと流れに対する圧力分布
第二章 流体解析
第一章の実験に使用した模型を3次元立体モデルとして表現し、解析モデル
は縦1.4m、横1.4m、高さ0.5mの範囲とし、中央部にブロックモデル
を配置した。また、模型は脚部の高さをL1、L2、L3、L4の4段階に変
化させ流体解析実験を行った。解析は、3次元一般座標系汎用熱流体解析プログ
ラム SCRYU/Tetra for Windows で行った。 .
第三章 まとめ
実験Tでは、定常流中で測定した各模型の抗力が脚部の無いL4から脚部が
最も高いL1への順に大きくなる傾向が見られた。また、抗力は設置角度0°
、60°の値が高く30°の値が低い傾向が見られた。 .
実験Uでは、模型L3の揚力が最も大きく、模型L1の揚力が低いという結
果が得られた。 .
実験Vでは、実験Tと同様に流れに対する投影面積が増えると抗力と抗力係
数の値は増加した。また、設置角度による明確な差は見られなかった。付加質
量係数は周期3秒から10秒の順に高く出る傾向が見られたが全体的には明確
な傾向を示さなかった。 .
流体解析では、設定流速70cm/sにおける各模型中央断面の流速ベクトル
図から、模型正面では流速が遅くなり流れがドーム前面から上部へと移動する
にしたがい流速は増大し、模型後部では流速が減少し渦を巻いている状況が見
られた。設置角度30°における模型下部の流速ベクトルは設置角度0°、6
0°の流速ベクトルに比べて変化が少ない。これは模型下部を流れがスムーズ
に通り抜けることができるためと考えられる。 .
い「不安定期」状態と考えられる模型L1と設置して一定期間経過後の砂への
埋没が止まったと考えられる「安定期」状態の模型L3に注目して考えると次
のことが言える。すなわち、模型上部から見た流速ベクトル図は模型L1の底
面付近において早い流速が集中的に分布しており、模型L3では比較的広い範
囲に早い流速が分布している。これらの傾向は「不安定期」である模型L1で
集中的に模型脚部に流れが当たるとより効果的に「安定期」である模型L3へ
の移行を促し、また速い流れが底面の広い範囲に分布することによって砂を後
方に除去して「安定期」状態を出現させることを示すものと考えられる。 .
ブロック周辺の流速分布と圧力分布は、このブロックの設計目的である砂へ
の耐性に大きく関わっており、高い圧力分布の集中する位置により埋没が進む
か防がれるかがほぼ決まってくる。今回の流速分布図と圧力分布図において、
ブロック脚部、ブロック前部、後部などに高い圧力が集中しており、砂を後方
に排除する割合が大きくなっていることが示唆される。 .